【犯罪行為を幇助】
自炊代行によって電子化された書籍データが依頼者の手によって不正にコピーされ、私的複製の利用範囲を超えた使用法をされる可能性はあります。 自炊代行業者が顧客に違法行為を行わないよう念を押しても、誓約書を提出してもらっても、これは否定できないでしょう。 この見地から、自炊代行業者は違法コピーとその配布の犯罪行為を幇助しているといわれるのも仕方ないのかもしれません。
【質問書を送付】
2011年9月5日に出版社7社と漫画家を含めた作家122人が連名で、自炊代行業者の100社に対して質問書を送付しました。 作家側からの許諾なしに自炊代行するのは著作権侵害の疑いがあるからです。 この質問状に対し、多くの自炊代行業者が今後のサービス提供を取りやめると回答する一方で一部の業者は反発します。 書籍電子化が時代の流れであることからも、出版社側と争う姿勢を見せています。
【裁判例】
書籍の自炊を所有者にかわり行う複製代行が私的複製の延長線上にあたる行為か、あるいは事業者による複製行為となるかが争点になっています。 この判断を示した裁判例はまだありません。
【互いの主張】
作家や出版社など権利者の団体は、複製行為に営利目的の業者が関わっている場合は違法と主張しています。 自炊代行を行っている業者は、利用者の依頼によって複製を代行しているだけであるので、広義の私的複製にあたると主張しています。